★編集長からのメッセージ2

《編集後記》 編集長からのメッセージ

◆西高東低の冬型の気圧が上空をおおっているせいで、「ブ

ルブル」と身震いする朝が多くなりました。昔のひとも冬

はこんな空を仰いでいたのでしょうか。江戸時代の長崎が

『寛永長崎港図』という地図に描かれています。長崎歴史

文化博物館に原図が展示されているのをご覧になった方は

多いでしょう。全体は4、5メートル四方もある大きなもの

ですが、このたび許可を得て普及版のA1版ポスターにし

て刊行しました。壁に飾って楽しんでいただけます。

◆『寛永長崎港図』は最古の絵地図かもしれません。1600

年代初期の寛永時代、鎖国政策がきびしくなりはじめた時

期の長崎の町が描かれています。ポルトガル人を隔離する

目的の出島が出来たのも、眼鏡橋が架けられたのも寛永時

代です。貿易港長崎の賑わいがよくわかります。外国船が

港に数隻碇泊していますが、よく見ると旗には十字架が描

かれています。まだオランダ船ではありません。長崎奉行

所がいまの万才町に描かれ、移転前だとわかります。川に

は多数の橋が描かれていますが、よく見ると屋根付きの木

橋で、数えてみると9橋もあります。豊かな町ならでは。

◆この地図は、白と赤に町が明確に色分けされています。

白は「内町」、赤は「外町」という区分で長崎の町の発達

史がわかるようになっています。地図には見る人の発見を

楽しませる要素があります。壁に飾った地図を眺めて時空

を超えた空想を楽しんではいかがでしょうか。(堀)

(2016年11月8日記)